ZEH普及の壁は「顧客の予算」

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業を執行する環境共創イニシアチブ(SII)は、2016~2018年度にZEHビルダー/プランナー登録を受け、公表した事業者(6996社)の実績報告を集計した。普及目標の達成度や、その背景を調査分析した資料を公開している。

ZEHビルダー/プランナーとは、自社が受注する住宅のうち、ZEH(Nearly ZEHを含む)が占める割合を2020年度までに50%以上とする事業目標を掲げる、ハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム会社、建売住宅販売会社などをSIIが公募し、登録・公開するものだ。

この制度は2016年度ZEH支援事業で「ZEHビルダー登録制度」としてスタートした。その後、設計実務者の登録が増えてきたため、2018年度から「ZEHビルダー/プランナー登録制度」に名称変更し、申請者は事業形態や業種に合わせて、ZEHビルダー、ZEHプランナーいずれかを選択できるようになった。2018年10月時点で「ZEHプランナー」として登録しているのは全体の約2.5%。

2018年度から、ZEHビルダー/プランナーを規定の項目で評価する評価制度も始まった。評価が最高のZEHビルダー/プランナーは公開時に5つ星が表示される。SIIは、2018年11月28日時点で7023件のZEHビルダー/プランナーをホームページで公開している。

SIIが公開した「2018年度ZEHビルダー/プランナー実績報告の分析」によると、2018年10月31日時点で登録済みのZEHビルダー/プランナーのうち、ZEH普及目標50%以上を達成したのは567社で全体の8.1%(17年調査では7.0%)。実績0%は3993社で全体の57.1%を占める(17年調査では62.6%)。

 

2017年度のZEH普及実績の集計。A登録は北海道の区分、B登録は北海道以外の都道府県の区分で登録(資料:環境共創イニシアチブ)



2017年度のZEH普及目標達成率(実績値÷目標値)を見ると、注文住宅のZEH(Nearly ZEHを含む)は目標5万4330件に対し実績4万2988件で達成率は79.1%だった。建売住宅は目標5088件に対し実績1076件で達成率は21.1%、既存改修は目標3212件に対し実績250件で達成率は7.8%と目標を大きく下回った。

 

ZEHビルダー/プランナーの年間建築総数。登録ZEHビルダー/プランナーの2017年度実績の集計(資料:環境共創イニシアチブ)



ZEH普及目標の未達理由として最も多かったのは「顧客の予算」。さらに、「顧客の理解を引き出すことができなかった」「体制不備」が続く。昨年度の同じ調査では最多だった「体制不備」が3番目に下がり、この1年間でZEH実現の社内体制整備が進んだことが読み取れる。

 

ZEH普及目標の未達理由(資料:環境共創イニシアチブ)



なお、自社目標を達成したZEHビルダー/プランナーによる達成理由の調査では、顧客対策は「ZEHのメリットの訴求」が最も多く、社内体制は「ZEH仕様の商品(仕様)の設定」を挙げるZEHビルダー/プランナーが最多だった。

SIIの調査報告は、SIIのホームページからダウンロードできる。


(日経 xTECH「省エネNext」公開のウェブ記事を転載)

 

 


 

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