ZEHのおススメは「光熱費の安さ」

環境共創イニシアチブ(SII)は、2014年度と同補正予算、2016年度の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」の補助金交付事業者を対象に、エネルギーの消費実態と収支の推移、ZEHでの暮らしの所見などをアンケート調査し、有効回答8890件のうち4770件を分析した。その一部を紹介する。

2017年4月から18年3月までの1年間の平均エネルギーコスト収支は、4万2461円/年・戸のプラスだった。収支がマイナスになったのは、12月~2月の3カ月のみ。前年の調査結果の平均3万3524円/年・戸に対し、収入は約27%向上した。

 

電力・ガス料金と売電額の月次推移(資料:環境共創イニシアチブ)



2014年度の事業者(N=321)に聞いた「ZEHお薦めポイント」では、「光熱費の安さ」が最も多い。ネット・ゼロ・エネルギーを達成したグループと、未達成のグループで比較すると、「光熱費の安さ」を推奨ポイントとする事業者は、達成したグループの方が10%以上高い。この他に、グループ間の差が大きかったのは、「部屋ごとの温度差が小さく過ごしやすい」「夏の暑さがやわらぐ」で、いずれも約7%の差があった。

 

電力・ガス料金と売電額の月次推移(資料:環境共創イニシアチブ)



マイホームにZEHを選んだ建て主は、ZEH建設に伴うコスト増をどう考えたのか。2016年度の事業者に聴取した「ZEH建設時の妥協ポイント」は、「建設費がコスト高になることを妥協した」の割合が最も高い。次に「庭や駐車場など外構工事コストを抑えた」が続く。

 

ZEH建設時の妥協ポイント。2016年度事業者のみに聴取(資料:環境共創イニシアチブ)



2016年度の事業者に聞いた「ZEHを知ったきっかけ」は、「ハウスメーカーや工務店の担当者から知った」がほぼ9割を占める。一方、住宅情報誌で知った建て主はゼロ。生活者向けメディアを活用したニーズ喚起や啓発は今後の課題だ。

 

低・中層ZEH-Mの交付決定事業の住棟規模(資料:低炭素社会創出促進協会)



2016年度のZEH実証事業から、これまでのエネルギー計測装置の測定項目に加え、照明設備や換気設備の電力使用量の測定など、加点要件(グレードB)を満たす申請を審査時に評価するようになった。SIIは、エネルギー計測装置の評価加点対象事業者から報告される測定データをデータベースに蓄積し、エネルギーの使用状況を分析した。測定期間は2017年4月初旬~2018年3月31日。なお、ガス流量情報は同事業者からのアンケート回答で収集した。

分析対象となった事業者の年間1次エネルギー消費量を実績値で見ると、「その他エネルギー」を除いた削減率は、基準値の約50%だった。これは設計値の削減率35.4%よりも16ポイント以上向上しており、実績値は設計値をおおむね上回っていることが分かる。

しかし、「その他エネルギー」の実績値だけは、基準値(=設計値)から128%に増大していた。省エネ性能の高い住宅で暮らしているので、居住者が電力の多少の無駄遣いを許容していたのか、予想以上に消費電力の高い機器が日常的に使われていたのか。今後の調査を待ちたい。

 

2016年度エネルギー測定装置評価加点(グレードB)対象者の調査結果(資料:環境共創イニシアチブ)

資料はSIIのホームページからダウンロードできる。

(日経 xTECH「省エネNext」公開のウェブ記事を転載)

 

注:最新のZEH支援事業 公募情報はこちらでご確認いただけます。


 

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