経産省、「コーポレートPPA」に向け環境整備、夏までに対応策
- 21/03/26
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内閣府は2月3日、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」の第4回会合を開催し、再エネ電力の調達に関し、需要家の選択肢を拡大する仕組みについて、現状の課題と改善策に関して議論した。
会合に参加した経済産業省は、非化石価値取引市場を見直して、需要家が直接、環境価値(非化石証書)を購入できるように改善するとともに、需要家が発電所から直接、電気を調達できる仕組みを検討する、と表明した。いずれも今夏までに実施スケジュールを公表する。
現在、非化石証書は小売電気事業者しか購入できないが、見直しが実現すれば、需要家が直接、購入できるようになる。また、再エネ発電所から直接、電力を調達することで、国内でも「コーポレートPPA」(企業による電力購入契約)のスキームが可能になる。いずれも小売電気事業者を介さないことで、需要家にとって現在より再エネの調達コストを下げられる余地が出てくる。
非化石価値取引市場の見直しに関しては、今年1月15日に梶山経産大臣から「カーボンフリー電力の価値が適切に評価される、需要家がアクセスできる環境整備」の指示を受け、すでに着手していた。経産省は、(1)証書価格、(2)需要家による直接購入、(3)需要家の利便性、の視点から、需要家が非化石証書を調達しやすい環境を作ることを念頭に、夏頃までに改善策と実施スケジュールの取りまとめを行うとしている。
また、再エネ電気の直接購入については、現在、国内では、電気事業法により「需要家に電気を供給する主体は、経産大臣の登録を受けた小売電気事業者」と規定されているため、法改正が必要になる。経産省は、「再エネ発電事業者と需要家との直接契約の可能性について、夏頃までに対応策の取りまとめを行う」とした(図)。
図 需要家による再エネ電力の直接購入の方向性(出所:経済産業省)
今回の会合では、再エネ電気の購入に取り組む代表的な企業としてソニーが参加した。同社は、2040年度までに全世界の事業所で再エネ100%の達成を目指しているが、「日本での環境価値の調達コストは、海外に比べ5倍以上高く、国内での再エネ確保が目標達成に向け最大の障害になっている」とし、政府に対し、(1)再エネ供給量が絶対的に不足している現状への対策として、大量の再エネ供給を可能とする系統ネットワークの整備、(2)環境価値市場の活性化により、自家消費以外の多様な調達施策の整備、を要望した。
また、委員からは、環境価値取引に関し、「RE100など国際的な基準で必須とされている再エネのトラッキングシステムを、現在の実証レベルではなく、Jクレジットなど他の環境価値も統合する形で国内的に統一して構築すべき」と要望した。現在、国内では、官民で複数のトラッキングシステムが併存する形なっているが、国際的には1つの国に1つのトラッキングシステムに統一することで重複を避けることが前提になっている。(日経BP総研 クリーンテックラボ)
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