経産省、「発電側基本料金」の導入と併せ、系統接続時の初期負担を見直し

 経済産業省は2019年7月5日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を開催し、「発電側基本料金」への対応を議論した。「発電側基本料金」とは、最大出力(kW)に応じて、発電事業者に課金する仕組み。現在、電力システム改革の一環で導入する方向になっている。
 

 従来、電力系統設備のコストは、共通利用の多い部分については「一般負担」として電力需要家の支払う電気料金(託送料金)に含めている。また、共通利用の少ない設備は「特定負担」として、系統接続時の工事費負担金で発電事業者に請求している。
 

 「発電側基本料金」は、今後、電力需要が減少していく一方で全国的に分散電源が増加していくなか、系統への新規投資を円滑に進める目的で検討している。送配電網に接続する発電事業者に幅広く系統設備のコストを負担してもらうのが狙いだ。原則として、再エネ電源を含め、すべての電源に「kW一律」で課金する(図)。
 


図 一般負担上限の見直しと発電側基本料金の導入イメージ(出所:経済産業省)
 

 今回の制度変更では、「発電側基本料金」の導入と併せ、系統接続時の初期負担(工事費負担金)のあり方も見直す。発電側基本料金が「kW一律」であることから、系統接続時の初期費用の「一般負担」の上限についても「kW一律」になる。
 

 太陽光の場合、従来、一般負担の上限は1.5万円/kWだが、これを4.1万円/kWに引き上げる。これにより、太陽光接続時の系統工事費用における一般負担の割合が増え、太陽光発電事業者の支払う特定負担分(工事費負担金)が減るケースが出てくる。
 

 つまり、制度変更後は、初期投資が減る半面、稼働後に毎年、「発電側基本料金」が課されることなる。ただ、すでに稼働している再エネに「発電側基本料金」が課された場合、初期投資の減少という恩恵のないまま、運用コストだけが増すことになる。
 

 加えて、固定価格買取制度(FIT)で導入された再エネ設備の場合、買取期間中、固定価格で買い取られるため、「発電側基本料金」による追加コストを転嫁できない。
 

 そこで、稼働済みのFIT再エネに関しては、現在と同水準の収益性を維持するためには、新たに課された発電側基本料金分、FITの買取価格に上乗せして引き上げる「調整措置」が必要になる。ただ、そうなると賦課金による国民負担が増す。これまでの議論の中で、稼働済み太陽光のなかでも、「FIT開始3年間の利潤配慮期間の買取価格が適用されている案件については、調整措置は必要ない」との意見が出されていた。
 

 この意見に関し、同年7月5日の小委員会では、「今後も、FIT制度に対する金融セクターからの信頼を確保し、再エネプロジェクトへの融資を維持するためには、稼働済みFIT案件のすべて対して経過措置が必要」との意見と、「国民負担の抑制を優先すべきで、利潤配慮期間の買取価格が適用されている再エネについては、制度上、この程度のコスト上昇は想定されており、調整措置は必要ない」との両論があった。
 

 利潤配慮期間の買取価格が適用されている稼働済み太陽光への「調整措置」(買取価格への上乗せ)の必要性を巡っては、多くの委員が「判断が難しい問題」としつつも、不要(買取価格に上乗せすべきでない)との姿勢の委員が、必要(上乗せすべき)とする委員よりも多いこともあり、最終的に「調整措置」見送りの可能性もある。
(日経BP総研 クリーンテックラボ)
 


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