「今年の国内の再エネ比率、2030年目標の水準に」、エネ研がコロナの影響を分析
- 20/08/21
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一般財団法人 エネルギー経済研究所は2020年7月14日、定例研究報告会で、新型コロナウイルスによる世界の再生可能エネルギーに与える影響分析を公表した。それによると、再エネ発電設備の容量(定格出力=kW)の増加速度はややスローダウンする一方、発電量(kWh)の電源構成に占める再エネ比率は急増すると見方を示した。
世界の再エネ発電設備の累積容量は、新型コロナの影響を受ける前の2019年までは年率8%程度で伸びていたが、コロナの影響を受ける2020~21年には同6%程度にスローダウンするとみている。大きく影響を受けるのは、住宅向けなど分散型太陽光で、設置の延期や中止が多発する恐れがあるという。ただ、コロナが収束すれば、2018~19年の水準に戻るとみている。
国内の再エネ発電容量も同じ傾向になっており、累積容量の増加率はコロナ前の年率10%程度から、コロナ後は6~7%程度にスローダウンする。年間の増加量は従来の予測水準から10~15%程度の減少に留まり、中長期的な影響はわずかとしている。
発電量については、経済活動の低下によって国内外で電力需要が減少するなか、火力発電の発電量が減少する一方、太陽光と風力を主体とした再エネの発電量が伸び、電源構成における再エネのシェアが高まるとの見方を明らかにした。
世界全体では、2019年に26%だった発電量に占める再エネのシェア(水力発電16%を含む)は、2020年には30%近くに急上昇する見込みという。再エネが伸びるのは、多くの国で優先給電や固定価格買取制度(FIT)による買取義務などの優遇措置があるのに加え、バイオマス発電を除き、燃料不要で限界発電費用ゼロという特性から、卸電力市場で有利なことが背景にあるという。
国内でもこうした傾向が見られ、2019年と2020年の第1四半期を比較すると、再エネのシェアは14.2%から19.7%に急増しており、2020年通年で見ると、22%近くに達する可能性もあるとみている。
日本政府は、現行の第5次エネルギー基本計画による2030年のエネルギーミックス(あるべき電源構成)目標のなかで、再エネ比率を22~24%と設定しているが、2020年にはこの水準に到達する可能性も出てきた(図)。
図 2030年のエネルギーミックス(あるべき電源構成)で決めた各電源の構成比(出所:経済産業省)
もっとも、再エネ比率が急増するのは、新型コロナによる電力需要の落ち込みが大きく影響しているため、コロナの影響が薄れて需要が回復すれば、22%を下回る水準に戻ることになる。それでも、2020年代中頃以降には、エネルギーミックスが想定している2030年の再エネ想定量に達すると見ている。エネルギーミックスの再エネ目標に到達する時期は、新型コロナによって、半年から1年程度、遅れる程度としている。(日経BP総研クリーンテックラボ)
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