建物の耐用年数、屋根の耐荷重が条件 白鶴酒造本店三号工場(後編)

 白鶴酒造(神戸市)は1964年に建てた自社工場の屋上に、年間約13万2900kWhの発電量を見込む太陽光発電システムを導入した。太陽光発電パネルを設置する工夫について、前編に続いて関係者が語る。

 

太陽光発電パネルを設置した白鶴酒造本店三号工場の4階屋上(写真:白鶴酒造)

 

 

2021年9月に、本店三号工場の屋上へ太陽光発電システムを導入しました。

 

松田昌史氏(白鶴酒造生産本部環境統括室長):既存建物への設置は初めてです。新築では、2012年に完成した灘魚崎工場の事例があります。ボトリングを行う工場で、冷温同時取り出しのヒートポンプなど高効率な設備機器を導入したほか、年間約31万5000kWhを発電する太陽光発電システムを設置しました。

 

 今回の本店三号工場は年間を通じて稼働する四季醸造工場です。空調を入れて室温を管理しているため電力の消費量が多く、これまではその全ての電力を購入していました。

 

太陽光発電システムの導入は、SDGs(持続可能な開発目標)に即したものですか。

 

松田氏:もちろんその面もありますが、より直接的には「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」への対応があります。省エネ法に基づき当社のような事業者は、中長期計画の提出や毎年度1%以上の省エネ化を求められます。これはかなり厳しく、削減策が何かないかと常に探している状況です。

 

 例えば、既存の照明設備を順次LEDに取り換えたり、点灯している照明をこまめに消したりといった細かい努力を重ねてきました。設備の効率化も進めており、これ以上削減する項目を見つけるのはなかなか難しいのが実情です。太陽光発電設備も増やしたいのですが、設置できる場所が限られています。

 

新築時の建設会社に試算を依頼

 

なぜ三号工場の屋上を設置場所に選んだのでしょうか。

 

松田氏:既存建物へ太陽光発電を導入する際には、建物の耐用年数が十分長く、日当たりが良く、屋根が太陽光発電パネルの荷重に耐えられること、という条件で施設を選びました。

 

 本社には設置場所の候補として6つの施設がありましたが、いずれも完成後50年から60年ほどたっています。工場はいずれ建て替えるので、今太陽光発電パネルを設置しても17年というパネルの償却以前に建物の寿命が来てしまう可能性があります。

 

 屋根の耐荷重については、太陽光発電パネルを載せられるかどうか、新築時の構造設計書を基に建設会社に試算を依頼しました。そして最終的に、三号工場に決定しました。

 

三号工場の3階屋上。3階、4階の2層に合計381枚の太陽光パネルを設置した(写真:守山 久子)

 

三号工場に設置する太陽光発電システムにはどのような条件を求めましたか。

 

松田氏:施工を手掛けたダイセン(大阪市)には、品質が安定し、長期間の使用に耐えられること、長期間の保証を備えメーカーの信頼性が高いシステムを、とお願いしました。

 

将来的に、既存施設へ太陽光発電を導入する計画はありますか。

 

松田氏:現時点では、先ほど触れたように他の施設に導入するのは難しい状況です。ただし、今後シート状やガラス製といった新たな太陽光発電パネルが汎用化されてくれば可能性は広がります。シートタイプは軽いので、容易に既存建物に設置できるようになるでしょう。ガラスのように透過性があれば、建物の側面に設置する方法も視野に入ってきます。

 

 脱炭素社会の実現に向けた世界の流れのなかで、日本が国としてどう対応していくのか。私たち事業者は、流れを捉えつつ、その時々の技術と法制度に即した方策を考えることになります。

 

白鶴酒造生産本部環境統括室長の松田昌史氏(写真:守山 久子)

 

(日経クロステック「省エネNext」公開のウェブ記事から抜粋)


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