菅総理が会見、「2兆円の基金を創設してイノベーションを支援」

 菅義偉総理大臣は12月4日、記者会見を行い、所信表明演説で掲げた「2050年カーボンニュートラル」目標を達成するための具体的な政策について公表した(写真)。

写真 記者会見をする菅総理大臣(出所:首相官邸ホームページ)

 

 菅総理大臣は、まず「カーボンニュートラル」への社会変革を「経済成長の制約ではなく、将来に向けた投資を促し、生産性を向上させ、大きな成長を生み出すもの」と捉え、米国や欧州で打ち出された「グリーンニューディール」(環境投資による成長)と同様、経済政策の一環との位置づけを明確にした。

 

 そのうえで、「過去に例のない2兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援する」とし、民間の投資に先駆け、政府が率先して技術革新に資金を投入することで、「240兆円の現預金の活用を促し、ひいては3000兆円とも言われる世界中の環境関連の投資資金を我が国に呼び込み、雇用と成長を生み出す」との狙いを示した。

 

 その具体例として、水素システムを新たなエネルギーインフラに位置付け、「大規模で低コストな水素製造装置」「水素飛行機」「水素の運搬船」を開発課題に挙げた。加えて、「電気自動車や再生可能エネルギーの普及に必要な低コストの蓄電池」「排出したCO2を使って、プラスチックや燃料として再利用する」といった革新技術を示した。

 

 これは、米バイデン次期大統領が、今年7月に発表した「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」を意識していると思われる。同計画では、4年間で総額2兆米ドル(約215兆円)を投入し、エネルギーに加えて道路・鉄道などの近代化、クリーンカー政府調達、充電スポット50万カ所、蓄電池の研究開発、ゼロ・エミッション・スクールバス50万台、住宅150万戸の建設、200万戸の耐候化などに取り組む。また、別途7000億ドルの研究開発・産業支援で500万人の雇用を創出するとしている。

 

 このほか、米次期大統領は、気候に焦点を当てた省庁横断的な新しい先進研究プロジェクト機関「ARPA-C(Advanced Research Projects Agency focused on Climate)」の新設を提言。グリッドスケール蓄電、ネット・ゼロ・エネルギービル、再エネ利用の水素製造、カーボンニュートラルな建材、食料・農業分野の脱炭素化など、100%クリーンエネルギー目標の達成を支援する画期的な技術開発を目指している。

 

 バイデン次期大統領のこうした公約は、再エネによる電気で水素やメタンガスなどを製造する「パワー・ツー・ガス(P2G)」の実証研究で先行するドイツなどEU(欧州連合)の動きを意識している。「2050年カーボンニュートラル」宣言を機に、日本もこうした再エネを軸としたエネルギーシステムを巡る世界的な開発競争に本格的に取り組むことになる。(日経BP総研 クリーンテックラボ)

 


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