「ZEHは高い」をどう説明?正しい情報を集め開示する

ZEHには省エネ基準を上回る性能が求められ、太陽光発電など再生可能エネルギーの導入が原則必要になる。そのため、これまでの一般的な仕様に比べて、建築費は高くなる傾向が否めない。顧客にどう説明すればいいのだろうか。2017年7月に設立されたZEH推進協議会の小山貴史代表理事に聞いた。

 

図1

小山 貴史(おやま・たかし) 氏
ZEH推進協議会代表理事、エコワークス社長
1964年熊本市生まれ。2004年にエコワークスを創業。17年からZEH推進協議会代表理事(写真:都築 雅人)

 

アフターFIT問題

 

—— まずはZEH推進協議会について教えてください。

一般会員は住宅会社で、2018年6月時点で187社が加盟している。年間700棟を建設する会社もあるが、1社の平均はおよそ40棟だ。建材や太陽光発電設備のメーカーなどは賛助会員に、関連する業界団体などは協力会員になっている。

 

—— 国は20年度までに新築注文戸建ての過半をZEHとする目標を掲げているが、太陽光発電システム(PV)の採用に二の足を踏む住宅会社もある。PVのメリットやデメリットをどう理解し、顧客に説明すればよいか。

ZEHとするには、高断熱の躯体に高効率設備を設置したうえで創エネを行う。設備は、容易に高効率化できるLED(発光ダイオード)照明を採用したり、給湯機をエコキュートやエコジョーズなどにしたりするのが標準的な方法だ。創エネでは、大容量のPVの設置が求められる。

PVに対して根強い抵抗感を持つ住宅会社があるのは確かだ。PVの設置で200万円前後が費やされ、十分な設計提案ができなくなるのではないか、などと危惧していると聞く。知見や情報の不足が誤解につながっている面もある。普及には、住宅会社自身の意識改革が欠かせない。

実際には、PVによる売電収入や光熱費の削減で、顧客の住宅ローンの負担を減らせる。当社(エコワークス)ではZEH補助金を受けた家の実測値を用いて初期投資と居住後にかかる費用をシミュレーションし、分かりやすく説明できるようにしている〔図1〕。

 

図2

実測値を基に、11年目以降を含めた太陽光発電の経済効果をグラフ化して説明。11年目以降の売電価格は11円と想定(資料:エコワークス)

主な試算条件(費用は特記ない場合は税込み。一部抜粋)
【家屋規模・返済条件】
●家屋規模:8.19m×6.37m程度の建物。太陽光搭載なしの場合、年間光熱費15万円を想定(延べ面積や家族構成、電力使用機器、建物の省エネ性能などの影響は考慮せず)
●住宅ローン:フラット35S(2018年6月金利)
●返済期間:25年、金利(当初10年)1.12%・(11年目以降)1.37%、ボーナス併用なし
●返済額:自己資金を統一して試算したため実際と多少異なる
【システム価格・売電価格・買電価格・発電量】
●システム価格:システム単価:33万円(2018年度想定値を採用。経済産業省調達価格等算定委員会「平成29年度以降の調達価格等に関する意見」より)
●売電価格(試算値):当初10年@28円/kWh (18年度) 、11年目以降(想定価格)@11円/kWh
●買電単価:九州電力「従量電灯B(22.69円/kWh)」を採用(121kWh超過300kWhまでの価格。年1%の上昇を想定)
●発電量:環境共創イニシアチブ「都道府県ごとの太陽光発電による平均年間創エネルギー量実績データ(創電力量)」17年より。1年に0.5%の低下を想定
●自家消費率:ZEH推進協議会の内部規定により算出
【メンテナンス費用】
●定期点検:5・10・15・20・25年目(税別2万円/回) (経済産業省調達価格等算定委員会「平成29年度以降の調達価格等に関する意見」より)
●パワコン交換:16年目(税別20万円/台)(同委員会第34回配布資料「太陽光発電・地熱発電・中小水力発電・バイオマス発電について(事務局資料)」より) 。パワコンは1台設置

 

国は分散型エネルギーシステムを構築する方向へと動いており、住宅にPVを設置すれば得をする仕組みをつくっている。制度や設備について最新の情報を収集して理解を深め、顧客と共有していくことが大切だ。

同時に、ネガティブな情報をできるだけ開示することも重要になる。例えば、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が終わる設置後11年目以降をどうするか。いわゆるアフターFIT問題だ。10年目までの収支だけでなく、その先もしっかり説明できるようにしておきたい。

一例を示す。FITの買い取り価格が安くなると経済的なメリットは減る。一方で電気自動車(EV)の普及は進む。EV充電器を新築時に2万~3万円程度で取り付け、将来EVを購入した際に太陽光発電を活用できるようにしておくといった提案は、一定の説得力を持つだろう。

現時点では蓄電池の必要性はアピールしにくい。それでも、国は電力需要の調整装置としてEVや蓄電池を位置付けている。いずれ柔軟な電力契約によって、蓄電池を導入しやすくなる状況が整うはずだ。

 

ZEHを売り込まない

 

—— エコワークスではZEHにどう取り組んでいますか。

2015年12月、国がZEHロードマップをまとめたのを機にZEH化へかじを切った。それまでは高断熱・高気密を標準仕様とし、PV採用率は1割だったものの、今では建設棟数の93%がZEHだ。

その過程では、顧客に対するZEHの説明方法を大きく変えた。

当初、顧客に接する初期段階でZEHの話をするようにしていたところ、社員から反発を受けた。「最初にZEHを説明すると、自然素材の気持ち良さを売りとしている自社らしさが伝わらない。木の家という特徴で選んでほしいのに、設備を重視した“メカメカZEH”との競合になってしまう」というのだ。そこで初期段階での訴求はやめ、モデルハウスからもZEHのチラシを撤去した。

顧客の興味の容量には限界がある。優先順位を付けて説明することが大切だ。現在は「一般の家よりも高断熱」程度の説明にとどめ、当社を気に入ってもらうことを優先している。

設計契約の後にPVの経済メリットを伝え、設置する方向へと誘導する。設計契約時にはPVのための200万円前後の予算を別に確保しておき、後で説明した際にPVは不要と言われたら、ほかの部分に分配する。

自社のZEH化率50%以上を目指すなら、外皮性能がZEHの要件となる基準を満たすかどうかについて顧客に選ばせないことも必要だと思う。性能の違いを実感していない顧客を迷わせるだけだ。

平成28年(2016年)省エネルギー基準から一般ZEH仕様に変更しても、工事費は坪1万円程度しか上がらない。当社では一般ZEH仕様を標準にした。

 

—— 2018年5月、国の委託を受けた環境共創イニシアチブは5つ星ビルダーを発表した。

6月時点で約400社が認定されている(7月20日に追加公表予定)。今後、国は5つ星ビルダーに対する支援を進め、各社が5つ星ビルダーとしてのマーケティングを始める。家づくりや家探しのポータルサイトに明示されるなど、住宅業界に大きな影響を与えるはずだ。意欲のある住宅会社は要件を確認して、19年度以降にチャレンジしてほしい。

 

出典:日経ホームビルダー、2018年8月号 pp.53-54 特集2 ZEHなんて怖くない

記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

(日経ホームビルダーのウェブ記事を抜粋転載)


 

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