非住宅の省エネ評価 適判、BELSなどの違い

今回は非住宅建築物に焦点を当てて、省エネ評価に関する現在の考え方と、各関連基準などの違いを整理する。性能を評価する仕組みとしては「省エネ適判」「性能向上計画認定」「BELS(ベルス)」「ZEB(ゼブ)」などがある。

住宅だけでなく、非住宅の省エネルギー性能も、建築物の規模に応じた規制や誘導を経て向上してきた。「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)では大規模建築物(延べ面積2000m²以上)に対し、2003年に所管行政庁への届け出を義務化。届け出案件の省エネ基準への適合率は12年度に90%を超えた。中規模建築物(同300m²以上2000m²未満)は10年に届け出を義務化。15年度の適合率は94%に達した〔図1〕。

〔図1〕300m²以上の非住宅は省エネ基準適合をほぼ達成

折れ線グラフは省エネ法で所管行政庁に届け出をした非住宅建築物の省エネ基準適合率。1999年度から2013年度は無届け物件を不適合とみなし、14・15年度は無届け物件に対して所管行政庁が督促して届け出があったものを含めて集計した。2017年の中規模建築物(非住宅)の届け出は半数弱を意匠設計者が担う(資料:国土交通省の「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会とりまとめ(案)」をもとに日経アーキテクチュアが作成)

 

15年7月に公布された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)において、2017年4月に「建築物エネルギー消費性能適合性判定」(省エネ適判)がスタートした。

国土交通省によると、2017年12月までの9カ月間で省エネ適判を伴う建築確認の件数は受け付けが延べ1800件、交付が1495件だった。確認審査に要した日数は同年の6月、9月、12月の各月間集計で1件当たり50.7~62.7日。省エネ適判開始前年は65.4~68.2日だったので、影響はあまり出ていないようだ。

また図1下に示した帯グラフのように、2017年4月~12月に中規模建築物の届け出を作成・提出した主体は意匠設計者が4~5割を占める。

他方、省エネ性能を星の数で示すのが「建築物省エネルギー性能表示制度」(BELS)だ。16年4月以降の非住宅の交付事例471件を分析すると、用途では「事務所等」が全体の6割以上と圧倒的に多く、星の数は「5つ星」が3分の1を占めている〔図2〕。5つ星のうちZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の事例は60件あったが、その4分の3は「ZEB Ready(ゼブレディ)」だった。

〔図2〕BELS評価の交付数は「事務所等」が突出

(資料:住宅性能表示・評価協会の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)

255件がモデル建物法、214件が標準入力法を使用。右円グラフのZEBとNealy ZEB(ニアリーゼブ)、ZEB Ready(ゼブレディ)の違いは図5を参照(資料:住宅性能表示・評価協会の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)

 

出典:日経アーキテクチュア、2018年9月13日号 pp.90-93 どんとこい! 省エネ建築

記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

日経 xTECHのウェブ記事を抜粋転載)


 

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