トリナ・ストレージは、このたびユアサ商事株式会社株式会社(以下、ユアサ)と大型蓄電事業に関する戦略的業務提携の覚書(MOU)を正式に締結しました。本覚書に基づき、両社は2025年から日本市場向けに合計500MWhの産業用大型蓄電システムを供給します。この容量は、日本の一般家庭が一晩で消費する電力の数万世帯分の規模に相当※し、日本における再生可能エネルギーの普及とカーボンニュートラルの実現に大きく貢献します。
※環境省の統計によると、2022年度の日本の一般家庭における1日平均電力消費量は約10.8kWhです。また、家庭の電力使用は夜間に全体の約3〜4割程度が占めるとされており、これを基に試算すると、500MWhの蓄電容量は約115,000~154,000世帯の一晩分の電力需要に相当します
<MOU締結式の様子> 前列右:ユアサ商事株式会社 取締役 執行役員 住環境マーケット事業本部長 兼 スマートエネルギー事業部長 竹尾希典 氏
近年、日本では再生可能エネルギーの導入、脱炭素社会の構築、そしてエネルギーセキュリティの強化が加速しています。太陽光や風力などの再生可能エネルギー比率が高まる中、電力の需給バランスを調整し電力系統を安定させるためにはエネルギー貯蔵能力を高めることが重要となっています。そのため、産業用大型蓄電システムの需要は、ピークシフトやエネルギー利用効率の向上、安定した電力供給の確保などに不可欠なインフラとして、拡大し続けています。
今回の業務提携において、ユアサは日本国内における販売チャネル、プロジェクト開発、および日本に根ざした運営の強みを活かし、市場開拓や案件調整、サービスネットワークの構築を担います。一方、トリナ・ストレージは、蓄電技術とシステムインテグレーションのコアコンピタンスを基盤に、セルからBESSシステム、電力供給までの完全な一体型ソリューションを提供し、高い安全性・信頼性・経済性を確保します。両社が連携することで、日本国内での大型蓄電プロジェクトの導入と運営を加速させ、市場対応力と高品質なサービス提供を目指します。
トリナ・ストレージは、今回のユアサとの提携を日本における大型蓄電事業拡大の重要なマイルストーンと位置付けています。同社は日本国内でローカライズされたサービス体制を整えており、法規制や市場ニーズに精通したチーム、現地サプライチェーンの統合、そしてライフサイクル全体をカバーするO&M(運用・保守)ネットワークを構築しています。こうした大規模プロジェクトにも対応できる供給能力と現地サービス網により、顧客にさらなる価値を提供し、長期的かつ安定的なプロジェクト運営を実現します。
ユアサは、日本における再生可能エネルギーの拡大に伴い、大型蓄電の役割がますます重要になっていると認識しています。今回、技術開発やソリューション提供において豊富な実績と高いファイナンス適格性を有するトリナ・ストレージと協業することで、両社の強みを結集し、日本市場に世界水準の蓄電ソリューションを提供してまいります。本提携を通じて、顧客への価値提供を一層高めるとともに、持続可能で脱炭素な社会の実現に寄与していきます。
▽ トリナ・ストレージについて
トリナ・ソーラーは、2015年よりエネルギー貯蔵分野の研究を開始し、ストレージ事業部としての基盤を築いてきました。2021年以降は、「トリナ・ストレージ」として独立した体制を確立し、電池セルからシステム、ソリューションまでを一貫して手がける垂直統合型のBESSソリューションプロバイダーとして事業を本格展開しています。現在、世界100社以上のパートナーと連携し、完工済プロジェクトは累計5GWh超、交渉中の案件は70GWh以上にのぼります。
2024年には、蓄電システムの出荷量が前年比で100%以上成長し、累計出荷量は10GWhを突破。中国・英国・オーストラリアではSI(システムインテグレーター)としてTop10入りを果たしており、2025年の出荷目標は8〜10GWhを見込んでいます。
主力製品である系統用蓄電システム「Elementa 2」は、UL、TÜV SÜD、CNASなど、国際的な第三者認証が取得済みです。特に、日本国内ではJETによる類焼試験(JIS C 8715-2:2019)に2024年12月に合格し、この試験に通過した初の海外ブランドとしても注目を集めています。
研究開発面では、蓄電池研究所、電力エレクトロニクス技術センター、蓄電工学技術センター、デジタルエネルギー研究所の4拠点を中心に、コスト効率・安全性・性能の最適バランスを追求。製造拠点としては中国・滁州および塩城にスマートスーパーファクトリーを設け、量産体制と安定供給を実現しています。