未評価技術の導入がZEBの補助要件に

環境共創イニシアチブ(SII)は、2019年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」を公募する。公募期間は2019年5月27日~6月20日。採択の決定は同7月下旬の予定。公募要領や詳しいスケジュールは、SIIのホームページから入手できる。

2019年度の事業から、補助対象となる建築物の規模が変更になった。これまでは延べ面積2000m2以上が対象だったが、新築は1万m2以上が対象となる。既存建築物の増築・改築・設備改修の場合は2000m2以上が対象だ。

地域区分の採択優先順位はなくなった。また、延べ面積1万m2以上の複数用途建築物に限り、一部の建築用途がZEBとなる建築物も対象となる。ただし、最も面積比率の高い建築用途をZEBとすることが条件。
 


2019年度ZEB実証事業の補助対象建築物の採択枠。
※1:サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などは、建築確認申請の建物用途が非住宅の場合に限り申請可能。
※2:体育館等とは公益性のある体育館、公会堂、集会場に限る。
※3:建物用途が採択枠一覧表の建物用途区分に含まれ、直交集成板(CLT)を構造耐力上主要な部分に用いつつ、開口部を除く外皮面積へのCLT使用割合が15%以上である建築物(資料:環境共創イニシアチブ)





複数用途建築物におけるZEBの評価。対象はAとBのいずれか、または両方とする(資料:環境共創イニシアチブ)



2019年度から「ZEB Oriented」も補助対象となる。ZEB Orientedとは、再生可能エネルギーを加味せず、外皮の高性能化、高効率な省エネルギー設備の導入で、事務所や学校などは基準1次エネルギー消費量の40%以上を削減、ホテルや病院、百貨店、集会所などは同30%以上を削減した1万m2以上の建築物。




ZEBの定義。「ZEB Oriented」を追加した。ZEB実証事業では工場等、飲食店等は補助対象外。
図は2019年度「ZEBロードマップフォローアップ委員会とりまとめ」におけるZEBの定義であり、ZEB実証事業の要件は公募要項を確認する必要がある(資料:経済産業省資源エネルギー庁)



交付要件にも変更点がある。2019年度から、エネルギー消費性能計算プログラム(WEBPRO)の未評価技術の9項目のうち1項目以上を導入することが必須要件となった。併せて、未評価技術の効果を含む計測、記録を行うBEMSの導入も必須となる。

交付要件はこの他、建築物省エネ法7条に基づく省エネルギー性能表示(BELSなど、第三者認証を受けているものに限る)の「ZEB」「Nearly ZEB」「ZEB Ready」「ZEB Oriented」のいずれかの省エネルギー性能評価の認証取得、ZEBリーディング・オーナーの登録など。

また、2019年度から補助対象範囲の「建築外皮」は、BPI(外皮基準の指標であるPAL*の削減率で、1.0が省エネ基準相当)が0.8以下の場合に限り対象になる。ダクト工事、配管工事、動力配線工事は補助対象から外れた。




2019年度ZEB実証事業で選択必須要件となるWEBPRO未評価技術の9項目。2019年3月時点の公開情報なので、空気調和・衛生工学会のホームページで最新の情報を必ず確認すること(資料:環境共創イニシアチブ)


2019年度のZEB実証事業の補助率は、補助対象経費の3分の2以内。補助金額の上限は5億円/年(複数年度事業に関しては事業全体の上限は10億円)。対象者は、建築主や所有者、ESCO(シェアード・セービングス)事業者、リース事業者など。ESCO事業者、リース事業者などが申請する場合は、建築主などと共同で申請する必要がある。なお、申請はZEBプランナーが関わる事業であることが必須だ。

ZEB実証事業は、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(業務用施設等におけるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化・省CO2促進事業 )」との連携事業となる。地方公共団体の建築物、延べ床面積2000m2未満の業務用建築物、2000m2以上1万m2未満の新築の業務用建築物、複合ビル(地方公共団体と民間で同一建築物を区分所有する場合など)のうち、環境省が実施する事業の対象要件を満たす建築物は環境省の補助対象事業となるため、ZEB実証事業には申請できない。

環境省の補助事業の公募期間は2019年5月27日まで。公募要領や詳しいスケジュールは、執行団体となる静岡県環境資源協会のホームページから入手できる。

(日経 xTECH「省エネNext」公開のウェブ記事を転載)


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