国交省や経産省、公共施設への太陽光設置を標準化

国土交通省と経済産業省、環境省は2021年6月3日、第4回「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を開催した。「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて、これまでの議論をとりまとめ、公共施設への太陽光の標準化などを折り込んだ素案を発表した。

 

 再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みでは、「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて太陽光発電の活用は重要とし、建築物への太陽光発電の設置を促進する。具体的には、国や地方自治体などの公的機関が建築主となる住宅・建築物について、新築における太陽光発電の設置を標準化する、既存ストックや公有地などにおいても可能な限り太陽光発電の設置を推進するなど、率先して取り組むことを挙げた(図)。

 

図 住宅屋根への太陽光導入件数の推移(出所:国土交通省)

 

 また、民間に向けた取り組みでは、ZEH(ネットゼロ・エネルギー住宅)ZEB(ネットゼロ・エネルギービル)、LCCM(ライフサイクル・カーボン・マイナス)住宅などの普及拡大に向けた支援、オンサイト型PPA(電力購入契約)モデルの定着に向けた先進事例の創出と事例の横展開・情報提供、太陽光パネルの後乗せやメンテナンス・交換に関する新築時からの備えのあり方の検討・周知普及を挙げる。

 

 このほかにも、モデル地域の実現、太陽光発電・蓄電池の技術開発促進や低コスト化の推進などを挙げた。なお、住宅への太陽光発電の設置義務化には触れられていない。

 

 住宅・建築物における省エネ対策への強化の取り組みでは、基本的な考え方として、省エネ基準の適合義務化を推進し省エネ性能を底上げする「ボトムアップ」、建築物省エネ法に基づく誘導基準や認定基準をZEH・ZEBの水準に引き上げる「レベルアップ」、ZEH+やLCCM住宅など誘導目標より高い省エネ性能を実現する取り組みを促進する「トップアップ」の3つを示した。

 

 具体的な取り組みとしては、住宅トップランナー制度や機器・建材トップランナー制度の強化、省エネ性能の表示制度導入、既存ストックの改修における支援拡充などを挙げた。2030年における新築の住宅・建築物について平均でZEH・ZEBの実現を目指す。

 

 検討会に参加した委員からは、素案の内容について概ね賛成とする意見が大勢を占めた。その一方で、「太陽光発電以外の再エネについても検討すべき」「現行の国の省エネ基準(冷暖房費削減率0%)やZEH(約10%削減)では不十分でありT-G1(約30%削減)・T-G2(約50%削減)・T-G3(約70%削減)といったより高い基準を目指すべき」「年度ごとなどの具体的なロードマップを示すべき」といった意見もあった。(日経BP総研 クリーンテックラボ)


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